主な実績
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事例1(不正競争防止法品質誤認表示)
競合会社の自社製品の品質性能の誇大広告により損害を受けているので、誇大広告の禁止と損害賠償を請求したい。
事案の概要 不妊治療に用いる卵子の凍結保存の医療器具について、凍結解凍後の「生存率100%」という品質を誤認させる表示の差止と、品質誤認表示による損害賠償を請求しました。■地裁判決 東京地裁は2回の弁論(第1回期日で訴状陳述、第2回期日で弁論終結)だけで、品質誤認表示とは言えないと請求を棄却する不当判決。
控訴審の約7割は第1回期日で結審・控訴棄却の実情ですので、控訴状と控訴理由書で地裁判決の不当性を主張・立証する必要があります。
不当判決の取消を求めて平成31年1月6日控訴提起控訴を提起し(控訴状)、控訴理由書で控訴理由を補充しました(控訴理由書)。■高裁判決 知財高裁は自ら4名の証人尋問も行い、2年を超える審理の後、地裁判決を取り消す逆転勝訴。
被控訴人の「生存率100%」等の表示は品質を誤認させる表示であり、不正競争防止法2条1項20号の不正競争にあたると認定しました(控訴審判決71頁)。■文書提出命令の不服従から利益額を算定
知的財産の裁判では損害賠償額の算定は困難が伴います。そこで損害額算定のための文書提出命令を申し立て(文書提出命令申立書)、裁判所は文書提出命令を発出しました。被控訴人は文書提出命令に従わなかったため、民訴法224条3項により控訴人の申立てを真実と認定して被控訴人の利益額を算定しました(控訴審判決)。■文書提出命令不服従から算定された利益額をもとに損害賠償額を推定
上記の利益額をもとに不正競争防止法5条2項の損害額推定規定を適用して(控訴審判決73頁)、損害賠償額を算定しました(控訴審判決81頁)。■文書提出命令による利益額認定(民訴法224条3項)と、不正競争防止法5条2項の損害額推定規定を重畳的に適用したリーディング・ケースです。
■強制執行(間接強制申立て)
知財高裁の判決後も、被告は判決が禁止した表示を止めなかったため、間接強制を申立てました。
東京地裁は申立てを認容し、強制執行を命じました。 -
事例2(特許侵害仮処分)
ビジネスモデル特許侵害をしているとの差止を求める仮処分申立書を受け取ったが、そのような特許を侵害していることはない。事案の概要
特許を買い取り自ら実施してない者(Non-Practicing Entity: NPE)からビジネスモデル特許に基づく差止仮処分の申立てを受けたが、債務者システム中に特許の構成要件である課金サーバに相当するものも存在しないので、特許権の権利行使はみとめられない。判例
完全勝訴 ビジネスモデル特許の最初の判例として海外誌(IP Asia)で紹介
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/805/012805_hanrei.pdf -
事例3(特許譲渡証の偽造)
特許の譲渡証書を偽造されて、虚偽の特許移転登録がなされた。第三者に転売される前に特許の登録を元にもどしたい。事案の概要 特許の譲渡証を偽造されて虚偽の移転登録がされた。それをもとに特許権が転売されようとしている。虚偽の移転登録は無効なので、特許の登録をもとにもどしてもらいたい。判決 完全勝訴
地裁判決
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/568/090568_hanrei.pdf
高裁判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/698/081698_hanrei.pdf - 事例4(不正競争防止法・商品形態模倣・商品表示冒用)
商品の形態が類似することを理由に販売の差止と損害賠償を請求する訴状を受け取った。どのように対応すればよいか。
事案の概要
他社の製品に組み込んで使用するための正規品と同等のリプレイス部品を提供したところ、商品の形態を模倣したと、製造・販売のの差止と損害賠償を請求された。リプレイス部品であるので、商品形態は正規品と全く同一であるが、その商品形態はありふれた形態であり不正競争防止法が禁止する商品等表示にはあたらない。
- 判決 完全勝訴
地裁判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/849/080849_hanrei.pdf
高裁判決
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/331/081331_hanrei.pdf
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事例5(言いがかり的な特許訴訟に対する反訴請求)
特許侵害をしているとの訴状を受け取ったが、製品の特定もできてない、全く言いがかり的な訴訟であり、逆に、こちらから原告に損害賠償を請求したい。事案の概要
特許侵害を理由に差止・損害賠償請求訴訟を起こされたが、被告物件が存在することや、存在してもそれが日本国内に存在すること、被告物件がどのように侵害しているか立証されていないと反論し、訴えの提起自体が違法であると反訴を提起した。原告は訴えを取り下げる申し出たが取下に同意しなかったところ原告は一方的に被告への請求を放棄したため、被告の反訴請求について判決に至りました。判決 実質的に逆転勝訴
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/736/009736_hanrei.pdf -
事例6(プログラム著作権の侵害)
プログラム著作物を侵害していることを理由に損害賠償請求の訴状を受け取ったが、そのプログラムは誰でも作れるプログラムであり、創作性がないので反論したい。事案の概要
地裁判決は著作権侵害を認めて損害賠償請求等が認容されたが、控訴審から担当した控訴審判決では「プログラムにおける「創作性」が認められるためには、プログラムの具体的技術に作成者の何らかの個性が発揮されていることを要すると解すべきであるところ、星座を求める本件プログラムは、ありふれた表現として、創作性がなく、著作物とはいえない」と判断し、地裁判決を取消し、原告の請求を棄却しました。判決 逆転完全勝訴
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/146/081146_hanrei.pdf -
事例7(サーバー上のデータ喪失)
サーバーの故障で保存していた顧客のデータが喪失したところ、契約関係のない利用者から免責約款の効力が及ばないとして、不法行為に基づく損害賠償請求を受けた。事案の概要
被告のクラウドサービスを利用してWEB上でプラグラムを運営していた原告が、サーバーの故障によってプログラムやデータが消失したことを理由に、不法行為に基づく損害賠償を求めたが、契約関係にない原告に対して被告が善管注意義務を負うとする根拠はないとして、請求を棄却しました。
判決 完全勝訴
サーバー上のデータ消失による不法行為責任(信州大学ローレビュー)
https://soar-ir.repo.nii.ac.jp/record/2899/files/shinshu_law_review18-04.pdf -
事例8(電子掲示板の削除義務)
電子掲示板の投稿を削除しなかったところ、管理者の削除義務に違反するとして損害賠償請求を受けたが、どのように対応したらよいか。事案の概要
電子掲示板に対する投稿は、明らかに許容される限度を逸脱していると認められる場合を除、掲示板の管理運営者との関係においては、基本的には違法とはいえないとして、損害賠償請求を棄却しました。判決 完全勝訴
地裁判決
http://www.e-mansion.co.jp/img/judgment_20120625.pdf
高裁判決
http://www.e-mansion.co.jp/img/judgment_20150529.pdf -
事例9(審決取消訴訟:原告として勝訴)
自分の商標に類似する登録商標に対して特許庁に登録無効審判を請求したが特許庁は請求を認めなかった。納得できないので特許庁の審決を取り消したい。事案の概要
審判手続においてなされた資料に基づいて本件商標登録が法4条1項8号,10号,15号及び19号に違反しないとした審決の判断はいずれも誤りといわざるを得ず,原告の取消事由に関する主張は理由があるから,審決は違法として取消しを免れないと特許庁の審決を取り消した。
判決 完全勝訴
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/134/038134_hanrei.pdf -
事例10(審決取消訴訟:被告として勝訴)
特許庁で相手方の特許を無効とする審決を受けたが、相手方から審決取消訴訟を提起された。事案の概要
刊行物1には本件各発明と同様に扉全体の体裁を向上させるとの課題が開示されているものというべきである。また、本件各発明が引用発明と異なる効果を奏するとはいえないのであるから。原告の上記主張は失当である。判決 完全勝訴
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/431/035431_hanrei.pdf -
事例11(賃貸借契約終了を理由とする建物明渡、賃料相当額請求反訴)
賃借人から階上から水漏れしたと損害賠償請求の裁判を受けた。賃借人は賃料を支払ってないので建物から出て行ってもらいたい。事案の概要
賃借人が水漏れで損害を受けたと賃貸人に対して損害賠償を求めて裁判を提起したが、賃貸人は賃貸借契約を終了させ、無断使用を理由に建物明渡と賃料相当額請求の反訴を提起した。裁判所は原告の請求を棄却するとともに、反訴請求を認容した。判例 逆転完全勝訴
平成25年1月31日東京地裁立ち退き判決 -
事例12(継続的契約の一方的終了に対する損害賠償請求)
大手コンビニエンス・ストアと新規サービスを共同開発して運営してきたが、コンビニエンス・ストアから一方的な契約終了の通知を受けた。苦労して開発したものであり補償を求めたい。
事案の概要
コンビニエンス・ストアをチェーン展開する株式会社との間で、サービスに関する契約を締結したが、契約期間の満了をもって当該契約が終了した場合において、上記サービスが両当事者の共同開発によるものであり、契約終了後における過去の成果の配分に著しい不平等が生ずるときは、コンビニエンス・ストアをチェーン展開する株式会社は、民法248条(付合・混和・加工における不当利得返還請求)の法理,あるいは,民法651条2項(委任契約が不利な時期に解除された場合の損害賠償請求)の趣旨などに照らして,同契約を合理的に解釈することにより,受ける利益の範囲内で,損失を補償する義務がある。裁判例 勝訴
平成25年1月21日東京地裁セブンイレブン判決
(判決評釈:日本評論社NBL1015号90頁) - 以後、続く・・・